京都議定書(きょうとぎていしょ、英: Kyoto Protocol)は、気候変動枠組条約に基づき、1997年に京都市の国立京都国際会館で開かれた地球温暖化防止京都会議(第3回気候変動枠組条約締約国会議、COP3)での議決した議定書である。正式名称は、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(英 Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)。
京都議定書で議決された内容
地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一種である二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFCs、PFCs、六フッ化硫黄について、先進国における削減率を1990年基準として各国別に定め、共同で約束期間内に目標を達成する。
(2008年~2012年の間に、日本マイナス6%、アメリカマイナス7%、EUマイナス8%といった削減率を設定している。)
京都メカニズム(CDMのメカニズム、排出権取引のメカニズム、共同実施のメカニズム、吸収源活動のメカニズム)が盛り込まれた。
なお、運用細目は、2001年に開かれた第7回気候変動枠組条約締約国会議(COP7、マラケシュ会議)において定められた。
日本では、2002年5月31日に国会で承認され、2004年6月4日国際連合に受諾書を寄託した。
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京都議定書の発効条件
発効の条件は、以下の両方の条件を満たす必要がある。
1.55か国以上の国が締結
2..締結した附属書I国(先進国、積極的に参画した諸国)の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全附属書I国の合計の排出量の55%以上
3.後者の条件について、世界最大の二酸化炭素発生国であるアメリカ合衆国が国内事情により締結を見送っている。
発展途上国の自発的参加が見送られ、アメリカ合衆国が受け入れを拒否、ロシア連邦も受け入れの判断を見送っていたため、2004年ごろまでは議定書の発効が行われていない状況であった。
2004年に、ロシア連邦が批准したことにより、2005年2月16日に発効した。
※アメリカ合衆国は依然議定書から離脱している。(2006年2月1日現在)
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各国の署名・批准の状況を示した図。
■: 署名・批准済みの国
■: 署名したが批准を保留中の国
■: 署名したが批准を拒否している国
■: 態度未定
1.署名国:84か国
2.締約国:162か国
3.排出量:61.6%
*2006年2月27日現在。
温室効果ガス削減のために行う、植林活動などのほか、他国の排出権を購入したり、より削減コストの低い国へ資金提供や投資を行い、その排出削減量を自国の削減量に還元することができる、世界を巻き込んだ社会的な仕組みのことで、一般に、CDMのメカニズム、排出権取引のメカニズム、共同実施のメカニズム、吸収源活動の4種のメカニズムの事をさす。
クリーン開発メカニズム(CDM…Clean Development Mechanism)
先進国が開発途上国に技術・資金等の支援を行い温室効果ガス排出量を削減、または吸収量を増幅する事業を実施した結果、削減できた排出量の一定量を先進国の温室効果ガス排出量の削減分の一部に充当することができる制度。
温室効果ガスを削減した結果、削減できた排出量を、国連が削減量に対してERU(クレジット)を発行する。このクレジットを、先進国間の排出枠として企業や国が売買する制度。削減努力を阻害しないように上限値が定められることとなっている。
投資先進国がホスト先進国で温室効果ガス排出量を削減し、そこで得られた削減量を取引する制度。つまり、先進国全体の総排出量は変動しない。
京都議定書は第三条で、1990年以降の植林などで、CO2を吸収した分を数値目標の達成に利用することを認めた。また、マラケシュ合意では、新規植林だけでなく、「森林管理」、「放牧地管理」、「植生の管理」を利用することも許容された。このため、既存の森林での吸収も削減分にカウントできるようになった。義務達成の難しい国である日本、カナダが主張した。
日本の削減量6%については、1990年(代替フロンについては1995年)を基準として、それぞれの温暖化対策要素ごとに削減目標を定めている。
1.エネルギ-消費に関係する二酸化炭素排出量の削減 0.0%
2.プラスマイナス・ゼロどころか11%のプラス(2002年)と激増しており、すでに目標の達成が絶望視されている。産業界の排出量は斬減傾向にあるものの、運輸、業務、民生部門の増加が目立つ。近年、直接的な排出削減と削減行動を促進する資金の捻出のために、環境税の手法も検討されているが、企業努力により削減量を積み重ねてきた産業界を中心に反対する声は多い。
4.ライフスタイルの変更、革新的技術開発 -2.0%
5.ライフスタイルの変更、革新的技術開発による削減は、最も不確実な要素であり達成できる見込は薄い。ライフスタイルの変更は、国民に我慢を強いることにつながりかねないこと、また、革新的技術開発は、それだけに頼りすぎてしまうきらいがあることなど、最終的なしわ寄せがくる分野でもあることから、敢えて表記を避ける資料が多い。
6.代替フロンガスの排出抑制 +2.0%
7.森林による吸収源の確保 -3.9%
8.管理された森林の成長による二酸化炭素の固定効果を見込むものであり、削減リストの中で最も高いウェイトを占める。しかし、日本では新たに植林をする場所がほとんどないこと、また、森林所有者の管理放棄(特に人工林)が進んでおり、吸収源としてカウントされる見込みが薄いことなどの問題があり、達成できるかどうかは微妙な情勢である。
9.排出量取引、技術供与による削減 -1.6%
10.排出量取引、技術供与などによる削減については、近年、京都メカニズムなどのルールづくりが進められているところである。
京都議定書の定める2012年以降の枠組みについての話し合いが始まろうとしているが、「温暖化は先進国の責任」とする途上国の猛反発により、交渉のテーブルにすら着席できない状態が続いている。
将来的には、人口が多く経済発展が目覚ましい中国、インド、ブラジルなど、後進国扱いを受けてきた諸国を、いかに国際的な枠組みに関与させていくかが、今後の世界的な地球温暖化対策の鍵となるであろう。
ロシアへの経済援助や批准推進のために基準年を1990年にしていることや、産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた日本が6%もの高水準を求められていることなど、締結・発効に至る過程で政治的に歪められたこの議定書を疑問視する意見も強い。さらに締約当時に開発途上国と見なされた中国・インドなどが順調な経済的発展を遂げ、非効率なエネルギー政策で大量に温室効果ガスを発生させ、世界有数の排出国となっているにも関わらず、何ら義務を負っていないことも問題視されている。
また、そもそも温室効果ガスと地球温暖化の因果関係は証明されていないため、議定書による温室効果ガスの削減では温暖化を防止できないどころか、経済活動を失速させるのみであるとの指摘もあり、仮に因果関係が認められたとしても議定書の枠組みを推進したところで、温暖化防止への効果を疑問視する見解も多い。
1.地球温暖化
2.条約
3.電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法 - RPS制度について
1.UN Framework Convention on Climate Change:国連気候変動枠組条約・ホームページ(英文)